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20031214
注:以下の記述は店頭公開規則に対応したものです。東証その他のルールとは微妙に違う場合があります。

そもそも
 類似会社比準方式は元々、いわゆる「規制期間」(基準期末の半年前〜2年前まで)のファイ
ナンスや株式移動の際の価格決定方式として定められたものです。
どういう趣旨で定められたのかというと、
「公開が見えている会社の株を公開前に取引するのは不正につながるから、本当はやっちゃ
いけないけれど、どうしてもやるなら公開会社の相場価格に準じた価格で取引しなければ登録
させない」
ということです。主観的な物言いですが、実際その頃は規制期間ファイナンスを嫌う関係者も
多かったし、特別利害関係者の株の移動は厳禁と言っていいような状況だったようです。
このときに指定した類似会社を公募価格の算定時の類似会社にするという決まりもありました(条文未確認)。

 1999年夏の公開制度大改正で制限期間(規制期間+禁止期間)が規制期間(開示期間)に
変わり、開示を行えば規制期間の増資も社長の自社株売買もOKになりました(もちろんあんま
り不明朗な取引は主幹事がやめさせると思われますが…参考)。
 ではコンキョレスになった類似会社比準方式はそのまま葬られたか、というとそうでもありま
せんでした。いまだに株価評価の一手法として残っています。なんで残ったかと言いますと、お
そらく「高めの株価に根拠をつけるのにちょうどいい」ということではないでしょうか。

類似会社比準方式の計算方法は、

              会社EPS      会社BPS
類似会社株価×(―――――――+―――――――――)÷2×掛け目
             類似会社EPS   類似会社BPS

です。

それぞれの数値の説明

類似会社株価
 類似公開会社の株価の単純平均です。類似会社は類似の業種で類似の売上・利益水準の
ものを選びますが、現状そこらへんはかなりアバウトです。社数は2社以上という決まりになっ
ていますが、ふつう5社くらいデータを採って組み合わせ、いい感じの株価がつく会社を選びま
す。
 株価は1ヶ月平均という決まりですが、1回試算してみるだけなら昨日の終値でも構いませ
ん。実際、終値ベースで計算している株価算定書もあります。そういう会社はおそらく地道な作
業が嫌いなんでしょう。今はやる気があればyahoo!ファイナンスでそういったデータが簡単に取
れます。
 なお、平均は単純平均なので、絶対的な株価水準が同じくらいの会社を選ばないといけませ
ん。1社だけ株価の絶対額がけた違いに大きいと、平均がその数値に引っ張られてしまいま
す。普通は50円額面の会社か5万円額面の会社かどちらかで固める(もしくはどちらかに換算
する)のが普通です。ただ最近は5分割とか20分割があるのでそこらへんはなんとも言えませ
ん。

EPS
 類似公開会社のEPSの単純平均です。普通上場企業のPERを出す時などには予想のEPSを
使用しますが、この場合は直近の決算による当期利益を使ってEPSを計算します。ただし期末
から現在までに株式分割等があった場合は調整を行います。
 当期利益が低い場合などに当期利益の代わりに経常利益や「特損がなかったと仮定した当
期利益」を使ったり、計算することもありますが、正規の方法ではありません。式をいじるのは
可能ですが、いじり始めると際限がありません。

例えば

             会社1株あたり売上       会社1株あたり使途不明金
類似会社株価×(―――――――――――――+――――――――――――――)÷2
             類似会社1株あたり売上    類似会社1株あたり使途不明金

というような式で比準価額を出すことも可能ですが、それで出た数値がファイナンスの根拠とし
て支持されるとは思えません。

BPS
類似公開会社のBPSの単純平均です。純資産についても、直近決算期末のものを使います。
ただし期末から現在までに株式分割等があった場合は調整を行います。

掛け目
 以前はこの計算で出た数値を公開2年前なら7掛け、公開1年前は8掛けすることになってい
ました。いわゆる未公開ディスカウントです。今でもそうやっている人もいますし、やってない人
もいます。そこらへんは出したい数値との出た数値の具合によって決まるようです。

備考
 類似会社比準方式には、潜在株調整ルールがありません。なぜなら、90年代の株式公開に
おいて、公開直前の会社は潜在株を全部株にしないといけなかったからです。
とはいえ、発行済株式数2,000株、行使価額50,000円の新株引受権(予約権も同じ)1,000株
分、といった会社において、計算結果をそのまま採用するのはいかがなものでしょう。
やっぱり行使価額の調整のような加重平均をやった方がいいようです。

計算結果×発行済株数+行使価額×潜在株数
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    発行済株式数+潜在株数
                     で加重平均ができます。
たとえば計算結果が500,000円だった場合、
(500,000×2,000+50,000×1,500)÷(2,000+1,500)=307,100 となります。



この言い方でわかるように、株価試算してから株価評価することより、株価を評価してから
 根拠となるように試算結果を出すということの方が多い。

 これだけでは実感がわかないと思うので次回に続く予定です。   次回へ

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