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(仮)会社法研究2 目次 よいこ (仮)2ノ2
20080615

「分配可能額」を考える

まえふり
昔は商法で自社株式の買取りは厳しく禁止されていたが、会社法では金庫株が解禁になっ
た。そこで投資契約に、契約違反時の株式の買取り条項を入れておいた。
数年後、投資先が投資契約に違反をした。契約に基づき発行会社に株式の買取りを請求しよ
うと思ったが、発行会社には分配可能額がないので、無理だった。
…なんて話、御社ではありませんか?

本題
自社株買いに限らず、以下の資金流出は、会社法461条により「分配可能額を越えてはいけ
ない」と制限されています。
・配当
・譲渡制限会社が譲渡承認請求したときに会社が株式を買う場合
・自社株買い
・全部取得条項付株式の買取り
・相続人等への株式売渡し請求(会社法174条による相続等の阻止)
・競売された株式の買取り
この定めに反して(知ってても知らなくても)分配を行った場合、もらった人に返還義務がある
だけでなく、関与した役員(条文に詳しく規定)には流出した金額を補填する義務があります。
(会462〜465条)
そういう厳し目の責任を負わせることで、「タコ配」が起こらないようにしているわけです。

分配可能額
分配可能額は昔風に言うと「配当可能利益」のことで、会社法461条(2)と会社計算規則で定
められています。
簡単に言うと分配可能額=剰余金の額−自己株簿価 です。
剰余金の定義は会社法446条で定められているので、それを代入すると
分配可能額=
   資産の額
  −自己株式の帳簿価額の合計額
  −負債の額
  −資本金及び準備金の額の合計額
  −自己株簿価
  −その他(446条参照)
となります。
(会社の資産内容によってはいろいろな加算減算が必要な場合があります。参考:大和総研


分配可能額とは関係なく払わなければならないもの
 ところが、世の中にはそういった制限とは関係なく払わなければならないものがあります。
例えば

@融資
A社債(普通社債・新株予約権付社債等)
B事業譲渡時の買取請求(会469)
C譲渡制限のない株式に譲渡制限をつける場合の買取請求(会116)
 です。
D他にもあったら教えて

@、Aは当たり前ですが、BやCはそれほど知られていません(特にC)。
そういう意味ではVC側にとって見れば現金化の大チャンスと言えます。
…実際そういうケースはまれだと思いますが。
 
おまけ
「まえふり」のようなことが起こると困るので、VCの投資契約では契約違反時の株式買取りを
社長等に対して請求できるようになっているのが一般的でしょう。
払えるか払えないかは別として。

おまけ
 最近自己株取得に関する、ちょっと使えそうな話を聞いたので2ノ2へ続きます。

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